「部屋をもっと居心地よくしたいけれど、何をどう選べばいいかわからない。」
私は、住宅インテリアの現場で20年以上、そんな声をたくさん聞いてきました。
世の中にはおしゃれなインテリアのイメージはあふれているのに、いざ自分の暮らしに落とし込もうとすると「結局いくらかかるの?何を選べばいいの?」と立ち止まってしまう人がとても多いです。
なのでここでは、ただのイメージだけで終わらせず、
プロの目線で、具体的なレイアウトやイメージパースに、実際に手に入る参考商品の価格も添えて、どれくらいの予算でできるのかをわかりやすくお伝えしています。
「何をどのくらい揃えれば理想に近づくか」をイメージできるだけでも、部屋づくりはぐっと進めやすくなるはずです。
インテリアに正解はありません。
だからこそ、いろんなシミュレーションを楽しみながら、あなたの暮らしに合うヒントを拾ってみてください。
さて今回は、喫茶店でふと耳にした単身赴任の男性の話から、
味気ない8畳ワンルームを「帰りたくなる場所」に変える妄想コーディネートをはじめます。
勝手に妄想コーディネートのはじまり

とある平日の喫茶店、隣の席からふと耳に入ってきた会話。
会話の主は、30代サラリーマン、きっちりスーツの男性二人組。
どうやら、一人は、急な異動で単身赴任となり引っ越してきたばかり。
職場に近いという理由だけで決めた、8帖一間のワンルームに住んでおり部屋には、現在簡易ベッドと小さな冷蔵庫と電子レンジのみ。
どうせ3年住むだけだから、このままでもいいかと思いつつもあまりにも味気なくて落ち着かない。
自分で家具を選ぶのも自信がないし、どうしたものかと思案中とのこと。
そんな相談を受けていた、もう一人の先輩らしき男性が、
「それなら、プロに頼めばいいじゃん。」とのアドバイス。
「なにそれ、それって高いんじゃないの?大丈夫なの?」と不安がる当人。
そんな会話を聞きながら、『よろしい、その案件引き受けましょう』と心の中で呟いて
私の「勝手に妄想コーディネート」がスタートしたのでした。
勝手に相談内容の整理
誰がどんな状況か?
- 30代のサラリーマン男性
- 急な転勤で単身赴任となり一人暮らし
- 3年の予定で8畳ワンルームに即入居
- 現在、手持ちは折りたたみベッド、小さい冷蔵庫、電子レンジだけ

どんな悩み?
- 家具を揃える時間がない
- 寝に帰るだけの味気ない部屋
- どこから手を付けいいのか分からない
勝手にプロが考えてみる“理想と現実”の落としどころ
では、いったん、今のレイアウトとパースで確認してみましょう。




なるほど、これは、確かに味気ない。
しかし物が少ないのは逆にメリット。工夫次第ではなんとかなりそうな予感がある。
この部屋の課題の整理
洋室8帖となっているが、実質、家具がおけるスペースは玄関とキッチン動線を除いた6帖になる。
快適さとコスパのバランスをどう取る?
3年間は短いようで、以外と長い。
あまりにも適当な物を買ってしまっては処分も大変。
3年後も継続して使用できることを想定して購入する方がコスパが良いと言える。
勝手に妄想!8畳ワンルームのコーディネートプラン
レイアウトのポイント
- 動線の確認
部屋のレイアウトに影響する動線は主に2つ。バルコニーに抜ける動線とクローゼットへの動線。

人が通る最低幅60㎝を確保するとして、ベッドはセミダブルを置いても問題なさそう。
妄想おすすめ「ベッド+ワークスペース ぎゅっと詰め込みプラン」




全体のカラーバランス
床色のナチュラルカラーに合わせたベッドフレーム。
デスクやチェア、シェルフ(棚類)、カーテンをホワイトカラーに。
まっ白にしすぎない、ナチュラルカラーにし過ぎない、バランスの良い配色がポイント。
家具その1:ベッド
成人男性ならスタンダードなセミダブルベッドがおすすめです。
ワンルームの場合ソファベットを検討される方がいますがが、あまりおすすめしません。
理由は、寝具の上げ下ろし、下した寝具の置き場所。面倒さと収納問題で、たいていの場合「ソファ」としての役目を果たすことなくその寿命を終えることが非常に多いからです。
ソファベッドは簡易的に使う面では便利ですが、毎日使うベッドはやはりスタンダードなベッドが使い勝手が良いですね。
家具その2:チェア
家でもPC作業をする方には、オフィスチェアがおすすめ。
ベッドと同じく長時間体を支える重要なアイテム。
自己投資として予算をかけてもきっと後悔しないはず。
注意点:オフィスチェアの下には毛足の短いマットを敷きましょう。とくに賃貸では、キャスター跡のキズ防止対策は必須です。
テレビは置かないことを選択してみる
無理にテレビを置こうとすることで、レイアウトが難しくなるのがワンルーム。
実際に観ているのが、配信が中心なら、いっそTVは設置せずにPCモニターで視聴すれば、レイアウトの自由度もアップします。
参考商品紹介と価格の考え方
このプランの参考商品です。
実際のレイアウトに近いサイズとイメージが近い商品となっていますので、参考までにご紹介します。※2025年7月現在の情報となります。ご確認時期によって価格、仕様が異なる場合や廃盤の可能性等がありますのでご注意ください。
ニトリ/セミダブルベッドフレーム 39,990円(税込)
上記セミダブルベッドはこちら
ニトリ/セミダブル 圧縮ポケットコイルマットレス 13,990円
上記マットレスはこちら
イケア/デスク/MITTZON ミッツォーン 17,990円
上記のデスク情報はこちら
ニトリ/オフィスチェア 34,990円
上記オフィスチェアはこちら
ニトリ/ピタッと吸着 チェアマット 3.290円
上記チェアマットはこちら
イケア/ALEX アレクス収納ユニットキャスター付 8,000円
上記収納はこちら
イケア/シェルフユニット/JOSTEIN ヨースタイン 6,500円
上記シェルフはこちら
ドレープカーテン/ニトリ/遮光1級・遮熱カーテン(無地・アイボリー)100×178×2 5,290円
上記ドレープカーテンはこちら
レースカーテン/ニトリ/遮熱・保温・防炎・156サイズレースカーテン 100×176×2 3,590円
上記レースカーテンはこちら
※上記カーテンは参考サイズです。ご自身の窓サイズに合ったものを選択してくださいね。
上記合計で、だいたい14万円。
お高いと思われた方、考えてみてください。この部屋で3年間生活すると考えて、
14万÷1,095日(3年間)=128円/日
ペットボトル飲料1本分と対して変わらないんです。
部屋は味方になる
- 「家具は面倒だから最低限でいい」と思っている人へ
面倒だからって後回しにすると、もっと面倒が増えます。 - 少しの工夫と最低限の投資で生活の質は変わる
毎日のペットボトル飲料代くらいで、部屋は格段にご機嫌になります。 - 面倒だからこそ、最初に整えておくのがおすすめ
最初だけ頑張れば、あとは部屋があなたを勝手に甘やかしてくれます。
これはあくまで私の勝手な妄想コーディネートですが、
このささやかな妄想が、どこかで誰かの部屋づくりのヒントになればうれしいです。